クリスタルIRカード - 特長

    IR用IRカード

    クリスタルIR カードの特長

    クリスタルIRカードは、非吸収物質を容易に塗布することができ、定性分析に利用することができます。
    溶剤または熱分解物質などから抽出(あるいは切出)した、溶液・繊維片・フィルムなどを迅速に、また煩雑な前処理をすることなく赤外分光光度計にセットすることができます。また各社IR装置のカー ドホルダにフィットし、機種を選びません。
    クリスタルIRカードは、第1世代のIRカード(PTFEタイプ・ポリエチレンタイプ)で使用上の大きな制約だった、妨害となるサンプルスポット部材自体がもつ吸収ピークはありません。またスクリーンカードのようにカードを縦においた場合、数秒でフィルムが壊れてしまったり、透過エネルギーが減衰してしまうことがありません。
    アルカリ性ハロゲン化合物を支持する酸化物(KBr・KClおよびNaCl)は、15mmと19mm径サンプルスポットのIRカードでは80%を超える透過率を、9.5mm径サンプルスポットのIRカードでは70%以上の透過率があります。
    クリスタルIRカードは、ブランクをとるなどの煩雑でコストがかかる多くのステップを省略することができるため使い捨ていただいても、なおかつコスト的に大きなメリットがあります。(Fig1.)

    • 透過率
      Fig 1. 透過率
      クリスタルIR カード(KBr)19mm
    • PVA の吸収スペクトル
      Fig 2. PVA の吸収スペクトル
      クリスタルIR カード(KBr)

    ICL社では、クリスタルIRカードに独自の技術を加え、大気中の水分を通さないことに成功しました。その結果長期間の保存が可能になりました。また同時に一回のみの使用であれば水溶性サンプルにもご利用いただけます。
    Fig2.はKBrクリスタルIRカードを使い、分析した飽和水溶液中のポリビニルアルコール(PVA)の吸収スペクトルを示します。PVAを残し、スキャニングする前に水分を蒸発させています。
    揮発性サンプルをクリスタルIRカードを用いて分析される場合は、オプションのカバーボードをご利用ください。(窓枠:12.4mmX12.4mm,厚み:1.1mm P/N:0006-7092~7094)

    一般的なクリスタルIR カードの使い方

    • 手順1
      手順1
      カードにサンプルのデータ、日付を記入します。
    • 手順2
      手順2
      ブランクカードを走査しバックグラウンドを測定します。このバックグラウンドは保存して比率分析することができます。
    • 手順3
      手順3
      サンプルエリアに溶媒で希釈したサンプルを一滴落とすか、少量のサンプルを直接塗り付けます。支持材を損傷しないように先端の丸いへらかピペットを使います。
    • 手順4
      手順4
      揮発成分は一般的に実験室の通常周囲条件下において数分で蒸発します。促進乾燥が必要な場合は、熱空気か窒素を流してサンプルを乾燥します。
    • 手順5
      手順5
      IRカードをIRサンプルコンパートメントに入れて走査します。比率の決定や保存、ライブラリ検索等、通常のスペクトルデータを処理できます。
    • 手順6
      手順6
      分析後は、塗布したサンプルに適した法律や規定にしたがってIRカードを廃棄します。